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虎のあな
〜退職後の回想記、黒服・店長時代の笑える苦悩の日々、奮闘記〜


その5・・・昨日の同志は今日の敵
このころの男子スタッフは 毎日ピリピリしていて
20店舗あった会社の中でも 一番売れているプレッシャーを感じながら
笑顔がでない環境であった

俺が入社・入店当時に言われた昇格基準
それは《お酒や備品などの物の管理が出来ること、それが
出来ないと人の管理は出来ない》と・・・

このままの状態がいつまで続くのだろう???

昇格は早ければ、1ヶ月 遅くても3ヶ月 本人の能力を
診るというよりも(仕事についてこれるか?根性をためす)のを
図られるだけの評価しかされないのが ウエイターである

少し前に サブマネージャーとなったHくんは昇格したとたんに
俺たちウエイターに偉そうにしていた

実際 黒服に上がったとしても 女性を管理するどころか
会話も出来なくて 会社を辞める人は大勢いた

ウエイターのまとめ役30%、黒服としてのマネージメント70%くらいの
割合で仕事をすることになる

ウエイターが仕事を投げ出して大量に辞められてもソイツのせいで・・・
マネージメントも出来なきゃソイツのせい・・・ もちろんこの時期が
一番辛いかもしれない

俺は その頃 ウエイターの3番目の位置にいて
《ボトル管理》を任されていた。

セット料金には美味しくないハウスボトル代も含まれていたのだが
かなりのお客様がボトルをキープしていた

営業が終わるのが 2時 そこから びっしり 3時間かけて
ボトルの残量や発注をするのが仕事である
しかも紛失などの責任の所在をはっきりする為にも一人でやらされた

2段のワゴン山盛りにボトルがまとめられていて
調べて 棚に 『あ』から順番にしまっていくのだが
いつまでやっても終わらない どさくさにまぎれて
名前を書いたネックがなかったり、一人で5,6本入れて
あったり・・・営業中 お客様が来たら 
速攻で ボトルを出さなきゃいけないのに 
棚に順番に並んでいなくて 出せずにお客様が怒ったり

『こんなに俺 飲んでいないけど?』みたいな
クレームがあった。こういう場合 同姓同名のお客が
確信犯で飲んだのか、友人が飲んだのか?

席について 最初の1杯も作れないでいると

『ボトル でてねーぞ!』と棚で黒服に怒鳴られ
見つからないと ボトル管理者が自腹でボトルを出さなきゃ
いけなかった。

ボトルだって安くないのに・・・
よっぽど ハウスボトルが不味かったのか(笑)

俺の場合はボトル トラブルがあると Hに 怒鳴り込まれた
しかし 忙しい時でもあり 本人もどう考えても
上司に インカム(店内無線)で怒鳴られている内容を把握していないまま
俺たちにアタッテイルみたいであった。

いろいろな原因があるのだろう
理不尽に怒られるのも仕方がない

というのも そろそろ飽きてきて

しかも 男子スタッフの暴力 (まだ受けていないけど・・・)
に見慣れてきた頃

俺より早く 入った 2人が月末に昇格試験を受けることになったと
男子の 全体ミーティングで知った。

(俺は あと1ヶ月ももつのか・・・この頃は見えないストレスで
体中に湿疹が出た)
特別幹部候補ということで黒服にまともに口も利いてもらえて
いないし ヤル気をアピールする環境は敵だらけで皆無

俺は 店をしきっている ヘッドマネージャーを跳び越して
営業中は外出していて なかなかお目にかかれない
店長が終了後に来た時に試験を受けさせてもらえるように
アピールしようと決意した

(待ってられない・・・)


その4・・・これが水商売?
 2週間が過ぎ・・・
俺の仕事はトレンチ業務から、「テーブルセッティング」の係へと
変わっていった。お店は相変わらずの大盛況で・・・
仕事中の休憩は5分あるかないか・・・

日曜日以外 スタートからラストまで同じ風景
ずっと満卓・・・
世はバブル崩壊から3年
夜の世界は景気の良さも悪さも実感するのに 1,2年ほどの時差があるが

不景気だと新聞で騒がれながらも、この場所は別であった

セット1時間 そして自動延長で30分単位 1日200人前後の客数
60席あっても、どんどん 入退店と 指名や合流によるテーブルチェンジの
たびに セッティングしていく

常にホールを見渡してみれば わかることだが
店内無線は黒服オンリーなので、一人で来たお客さんについていた
ホステスさんがなんかの拍子で席をたってしまい、お客さんも
トイレに行ったときなど、テーブルが空になってしまい

帰ったと思って 急いでテーブルを片付け、お客がトイレから戻ってきた際には
他のお客が座っているなんて失敗も経験した

マネージャーも忙しいから よほどのクレーム以外 俺たちが
テーブル状況を訊けるわけもない 失敗しない為には
まさに集中力が物をいう業務であった。

3週間目で ウエーター長だったHがサブマネージャーに昇格した
マネージメントのようやく入り口にたったといえよう

このHは俺よりも年下の20歳
ウエイターが数多くいたせいか、周りに指示だけして
いつも うまくサボっていた奴である

業務というより、ひとつ役職が上の人たちに
媚売るのが仕事のような・・・

仕事の能力はわからないが・・・うまく力を抜いている
こんな調子のいいオトコは俺が黒服になった時に速攻で
出し抜いてやる そう思った

どんなに仕事が慣れても 描いていた水商売とはかけ離れた
ウエイター業務

店内裏は袖から袖へと抜ける通路があって
 ホステスの更衣室やトイレ、厨房などがあり
たまに ホステスさんとすれ違いで挨拶するのだが
90%はシカト(笑)ホステスさんにとっても
ウエイターは同じお店のスタッフとは感じてもいないだろう

この会社はマネージャーにならないと
挨拶以外の会話は禁止となっている

ウエイター業務がつらくて辞めたら 水商売ではなく
配膳係の仕事と変わらないので こんなところじゃ 辞めれない

神経が図太くても、どんなに前向きな人間でも
へこむ環境に 負けない意思が必要な仕事

これぐらいを乗り切れずに 様々な人を管理していくのはムリな話

いつも 心に 向上心と決意と気合いを入れて仕事をするのではあるが
ホステスさんやお客さんに出す笑顔に余裕もないままで

そして特にモチベーションが下がるのが

営業前の食事はマネージャーとはかけ離れた
コーナーに固まってメシを食う 俺たち

早い時間 勉強会だか個人指導だかしらないが
さっそくお店に来て マネージャーと談笑しているのを
遠目で見ながら・・・

(さて ここから 抜け出すにはどうしたらいいか・・・)
明確な答えももらえないまま 奴隷生活は3週間を過ぎた


その3・・・ウエイターの仕事
ウエイターが8人いても、ノンストップで動き続ける
ウエイターの一ヶ月はまさに【奴隷】であった

一日のうちに 冗談を言った記憶がない
くらい追い詰められた生活であった

縦社会の一番底辺はそんなもの

ある程度覚悟はしていたが

たいした 年齢も いかない奴に 指導受けられて
嬉しいわけがない

もちろん甘い夢見て 女性にもてる お金が稼げるなど・・・
愚かな動機で入社する 若者はすぐに辞めていく

俺の最初の仕事は「灰皿交換」のみ
しかもウエイター同志 皆 追い詰められているので
人にやさしく出来る 余裕など皆無

連帯感なんて くそくらえの 会社 

トレンチに30個くらい乗せたまま、ホールを駆けずり回った
しかも テーブルの灰皿は たった1本吸っただけで
次々と交換しなければならない 

まるで もぐらたたき の実写版である

ヘビースモーカーや会話のない テーブルではやることがないのか
どんどん タバコを吸ってる

灰皿3個で3本 あっというまに手が上がる そして
「灰皿」のブロックサイン

早く替えないと ホールの中で 
黒服に文句言われたり 蹴られたりする・・・

この灰皿交換で一番イヤなのが、
いちいち かたひざをついて 交換(ニールダウンという)する行為

怒られながらも 汗だくで 業務していて
しかも満卓の 津波のようなどよめきの中

トイレから帰ってきたお客が席に戻ろうとして
運悪く 交換物をしていた
ウエーターの後ろでつっかえていると

その2,3分後は ホール裏の暗幕で お約束の膝蹴りが待っている

本気で仕事しているから 相手の怒りもよく理解できるのだが
そのやられた本人もマゾではないのだから
ナーバスな気持ちで仕事をしなくてはならない

まぁ 忙しすぎて 考える余裕も無いのであるが

片手にトレンチもったまま走って BGMも流れていて
100人以上の 声を拾うのは はっきり言ってムリな話で・・・

それでも 他のウエイターが 怒られている行為を
遠くで視界に入れながらも

「俺は絶対 そんなことでは 文句いわれないぞ」
と心に誓い うまくかわして仕事に専念した

自分の性格上 理不尽に怒られたら
逆上するのがわかっていた為
そつなく ミスなく仕事をした

営業が終わると かなり足腰にがたがくる
たぶん一日に3000回のスクワットしている気分で

キャバクラというよりは、プロレスの養成所みたいな
いまでも ぞっとする仕事であった

入社して、3日目で前に働いた頃の記憶が無くなり
毎日 寮に帰っても 体中が痛くて せまいバスタブで
お湯に浸かるがやっと・・・

しかも 起きたら すぐ仕事に向かわなければならない・・・
朝6時帰りの 昼2時出勤 

ウエイターとマネージャーがミーティングする場所でさえ もちろん
違う場所なので、なるべく 黒服に怒鳴られないように

もくもくと仕事をしなければならない・・・

どうせ 相手はウエイターなんて 仲間どころか・・・
人間とおもっていない コキの使い方なのだから・・・

時間はあっと言う間に 過ぎ去り 1週間が過ぎた

俺の後に2人が入り、前にいた1人が非常階段から営業中に逃げ
「灰皿」交換から「アイスペール」や「ミネラル(水)」へと
仕事が変わったが・・・数えて17番目には変わりなかった

この頃は肉体的にも精神的にも追い詰められ

週一回の休みは 喫茶店で一日 放心状態で 自分のやる気を
再確認するのがやっとであった

(縦社会の一番底辺はそんなもの・・・)


その2・・・都内屈指の繁盛店
そのお店は毎日2時が出勤時間です
【水商売】といえば夜のイメージですが・・・

2時でも間に合わないくらい・・・
時間が足りない忙しさでした。

お店は6時30分からの営業で
ウエイターは俺を含めて8人 年齢もまちまち

仕事は 掃除から始まって・・・
買出し 備品のチェック テーブルセッティングなど・・・

この辺は どこのお店でも ある風景なのだが・・・

なんと困ったことに、交代制で料理当番というのも
ウエイターの仕事であった。料理に携わっていないと
いきなり 18人分の料理を 予算と食事時間に合わせて
作るのも かなり無茶な仕事であった

しかも メシがまずいとマネージャーから文句を言われる
『自分のはできません』とも言えず かなり苦労しました

初日はウエイター長みたいのが、(といっても18歳!)
いろいろ手順を教えてくれた。が なんか態度がみんな冷たい・・

訊かなくても 彼は 『みんな きつくてすぐやめちゃうよ』
と俺に言ってきた。

マネージャーは 2時にミーティングを終え、みんな一箇所に集まり電話を
かけていた 何をしているのかは その時はわからなかったが・・・
電話をかけている人もいれば、 面接に来るホステス希望のコを
さばいている人がいたり、忙しそうであった

この会社は もろ体育会系で食事が終わって
6時になると・・・
朝礼を知らせる音楽が店内になり響き・・・
朝礼で俺は 入店の挨拶をするのだが・・・

一列で番号を言ったり、整列したり 訓話としょうして
会社のスローガンを暗記したまま 大声で唱和したり・・・

その気合を入れること自体 まったく初めてのことで
面くらってしまった

そしてこの緊迫した朝礼とミーティングが終わると

6時半に営業照明になり一日の営業が始まった

開店と同時に このビルめがけて お客さんがどんどん入店してきた
8時の同伴終了時には 同伴したのに満卓で入れず 怒ったお客がフロントで
大騒ぎしていてマネージャーが対応に追われていた。

俺は想像もしない営業前と営業中の風景の違いに ド肝をぬかれた
こりゃ『戦場』だなぁ・・・)
酸素欠乏症になりそうなイメージ

例えるなら リニューアルじゃなく グランドオープンのパチンコ屋みたい
な初日であった。しかも 月曜の何でも無い日なのに・・・


その1・・・誇大広告は眩しすぎた!
あれは10年前!
ワタクシ やおきちはある決意をする・・・

それまで、ぬるま湯のようなアットホームな20坪のミニクラブの黒服に飽きた
やおきちは、当時のお店のホステスの求人を載せていながら、その広告
よりも4倍も大きい 記事の会社に目を奪われた

「5年でポルシェをキャッシュで買えました!」
当時 「東京で一番の勢いあるグループ(現在も)と若い体育会系なノリ」

どこかの店長かなんかは知らないが
若い 男の子の笑顔がそこには写っていた

(たいして 年齢も俺と 変わらないじゃないか・・・)

決して現状に不満はなかったのだが・・・
この募集広告がきっかけで どこまで自分の力が試せるか
やってやろうじゃないかという気持ちになった

そして 恩義のあった マスター(経営者)とママに
お店を辞めることを 報告 3日3晩 反対されてしまったが
なんとか わがままを聞いてもらった。

この反対されたこと

「自分がつらくなった時に思い出して そのおかげで 今の自分がある」
かなり そういう意味でも前の職場の人にはお世話になった

あと1年で店長(当時は不在)という約束も
まえまえから言われていたのに・・・


そして 引継ぎ
といっても 90%は ママやチーママがマネージメントする訳で・・・
3人の黒服が2人に減っただけのこと 引継ぎはスムーズでした

残った2人の黒服は自分より部下だったので、
前々から チャレンジしてみたい 話をしていたから
問題なく退店することができました

そして 自由が丘の小さなクラブから 大手キャバクラチェーンへと
転職したのでありました。

新しい会社は支部がいくつも 分かれていて
人事の方に、「新宿・池袋・六本木・上野 どこがいい?」と希望を訊かれ

「どこでも いいです 」と答えたら 当時 都内で1番 だった某店舗に
配属が決まってしまった。

経験者=特別幹部候補 というカテゴリーにあてはまった
故に 大繁盛店 に振られたというわけだ

行ったことも無い土地で勝負をしようと決意

ある日の夕方 男子寮へ 引越しを終え、
ついに 事務所で 幹部の方々に挨拶され・・・入社

そして店舗へ・・・

待ち構えていたのは 歓迎する気などみじんにも感じられない

スタッフが17名ほど・・・

その歓迎されない意味は その日の営業で知ることとなる!
〜続く〜


やおきちの水商売奮闘記>虎のあな
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